そして債務整理に前向きになれる考え方

高い連用効率は、高いリターンと低いリスクによって実現される。 資産運用にはみられない金融派生商品(デリパテイブ)等を使川した多様なリスクヘッジ技術が、低いリスクの実現に一役買っている。
市場の上昇局面では高いリターンが期待できるが、市場の下落局面では資産を売却するのが精一杯で、短期資産以上のリターンをあげることは困難である。 リターンをプロットしているが、それぞれを近似的につなぎ合わせたトラデイショナルラインとヘッジファンドラインを比べてみると、ヘッジファンドラインのほうがトラディショナルラインよりも上方に位置していて、リスク当りのリターンが高い投資戦略であることがよくわかる。
伝統的資産の運用は、現代投資理論(モダンポートフォリオセオリー)で指摘されているように、投資家がリスクを負って債券や株式に投資した場合、長期的には短期資産以上のリターンが期待できるとされている。 個々の資産が本源的にもっている短期資産に対する超過リターンを行うことによって獲得できるリターンである。
2-26をみると、そうしたリスクプレミアムの水準は債券で1.9%、株式で7.1%となっていて、パッシブ運用によって投資家が獲得できるリターンは、債券で5.7%(=3.8%においては、これにアクティブ運用による付加価値が上乗せされ、できあがりの全体リターンは、債券で、ヘッジファンドを含むオルタナティプ投資の場合は、リスクプレミアムリターンはゼロとなり、計祖「」期間に違いはあるが付加価値の上乗せされている。 ヘッジファンドがスキルベース運用といわれ、そのリターンがスキルベースリターンといわれる理由である。
なお、伝統的資産に対する市場感応度をベータと呼ぶのに対し、こうした市場の動きに左右されないスキルベースリターンはアルファと呼ばれている。 伝統的資産の場合は、投資家は長期的にはパッシブ運用やアクテイプ運用を通じて短期資産に対する超過リターンを獲得することができるが、ヘッジファンドの場合は、ヘッジファンドマネージャーのスキルに依存するという特性があることから、ヘッジファンドに長期間投資しでも必ずしも短期資産に対する超過リターンを獲得できるとは限らない。
したがって、短期資産プラスアルファをねらっても、短期資産マイナスアルファとなってしまうケースも想定される。 伝統的資産とヘッジファンドにおけるマネージャーリターンの格差のイメージを表している。

伝統的資産では、債券よりも株式のほうが価格変動性(ボラティリティ)が大きいことから、マネージャーリターンの格差も、債券よりも株式のほうが大きい。 ヘッジファンドは、伝統的資産にみられるリスクプレミアムという短期資産に対する上乗せリターンがなく、いわばゼロからの積上げで、かつ、マネージャーのスキルがパフォーマンスに及ぼす影響が大きいことから、マネージャーリターンの格差は伝統的資産よりも必然的に大きくなる。
マネージャーリターンの格差について、ヘッジファンドの投資戦略ごとの年率リターン上位グループ(90%タイル)のマネージャーがいると仮定した場合にトップから数えて10番日のマネージャーのリターン)から下ボラティリティ)1年の実績値と1995年から2000年の過去5年間の平均値を比較している。 2001年は、毎月100を超えるファンドマネージャーが誕生したようであるが、こうした結果は、非常に優れたマネージャーが畳場する一方で、そうでないマネージャーも数多く設場したことを表していて、マネージャーセレクションが、日を追うごとに困難になってきている様子がうかがえる。
現代投資理論に基づく運用の基本は分散投資である。 特定の資産に集中投資するのではなく、多数の資産に適度に分散投資をすることによって、リターンのぶれを抑えながら高いリターンをねらうという投資の考え方であるが、その分散投資の効果を高めるキーワードは低相関である。
分散投資との関係でいえば、単に多数の資産に分散するのではなく、資産聞の相闘がゼロ近辺あるいはマイナスとなる資産同士を組み合わせることがポイントで、そうすることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑制することができる。 第1章で指摘したように、伝統的資産、特に内外株式の相関係数が、近年、高まってきているなかで、伝統的資産との低相闘が期待されるオルタナティプ投資のうち、特に、ダウンサイドリスクを回避する機能をもち、流動性や時価評価に優れたパブリックマーケット投資の一つであるヘッジファンドが注目されるようになってきている。
2001年10月の年金コンサルティング会社のワトソンワイアット社の調査によれば、ヘッジファンドと米国株式との相聞は1999年12月時点の過去3年間でo.7と報告されており、HFR(ヘッジファンドリサーチ)杜のデータでも0.76、FRM社のデータでもO.7となっている。 これまでオルタナティプ投資のうちヘッジフアンドを取り上げ、伝統的資産との低相関性について述べてきた。
こうした検証結果について違和感をもたれる読者が多いのではないかと思われるが、これについては伝統的資産の市場局面に照らしてみてみると、その理由が明らかになる。 ヘッジファンドと米同株式(S&P500)の累積投資収益、ヘッジファンドと米国株式の相関係数の推移を示しているが、ヘッジファンドはダウンサイドリスクを回避しながら絶対リターン(あるいは、短期金利推移は右肩上がりの傾向となる。
したがって、米国株式の上昇局面では、3年問、米国株式が堅調に推移したことから相関係数もo.7程度と高い水準となっている。 2000年以降、米国株式が調整局面入りするなかでもヘッジファンドは引き続き右肩上がりの傾向を守ったことから、相関係数は低下することになり、伝統的資産に対する低相関性によるヘッジファンドのダウンサイドリスク回避機能である。
2001年12月末時点のヘッジファンド全体の米国株式に対する36カ月ローリングの相関係数は0.54とやや高めとなっている。 実際のヘッジファンド投資にあたっては、ゲートキーパーを活用するなどして、低相聞が実現できる投資戦略やマネージャーを組み合わせていくことになる。
伝統的資産は、1998年(7-9月)のロシア危機(ヘッジファンド危機)、2000年(9-11月)の「Tバブルの崩壊、2001年9月の米同時多発テロの勃発と、これまで幾度も突発的な相場の下落に悩まされてきた。 そうしたなかで、ヘッジファンドは、市場感応度を表すベータ値を抑制し、ファンドマネージャーのスキルに基づくアルファ値を高めることによって、幾多のイベントリスクをくぐり抜けてきた。

1998年(7-9月)はLTCM杜の破綻によるヘッジファンド危機とも呼ばれている時期で、他のケースに比べてヘッジファンドマーケットの下落幅も大きくなっている。 そうしたなかで、FRM社が選定したマネージャーのユニパースリターンの下落幅は抑制されていて、マネージャーセレクションの重要性を確認することができる。
最後に、これまで説明してきたヘッジファンドの特徴を伝統的資産のアクティブ運用との相違点としてまとめたのが、2-32である。 これまで、ヘッジファンドのリスクリターン特性について説明してきたが、その基本的な構造を明らかにする。

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